9月も半ばを過ぎ、少しづつ朝晩は涼しく感じるようになってきました。
まだまだ暑い日も多いですが、秋の気配もただよってきましたね。
寒暖差で体調など崩さないよう気をつけていきたいものです。
今回のテーマは、過去2回にわたりお話しした、新入社員・若手社員の「配属ガチャ」に続き、2026年卒の就職活動に関する傾向と育成方法について前後編にてお伝えしたいと思います。


さて、新入社員を採用されている企業様、26卒への内定者フォローは進んでおりますでしょうか。経営者や人事・教育担当の方にとっては、来年度の入社までの期間にエンゲージメントを高めて、より飛躍できる育成へとつなげていきたいとお考えのことと思います。
より良い育成のために、まずは26卒への理解を深めていきましょう。
25卒とどんな違いがあるのか、26卒ならではの特徴、育成方法とは。
ではどうぞ!
▼内定者フォローアップはこちらの記事でもお伝えしております!

25卒と26卒の就活傾向
はじめに、25卒と26卒の傾向と違いについて整理してみたいと思います。
マイナビ社が実施した「大学生就職意識調査」を参考にしながら考えてみましょう。
まず、25卒の学生はどのような特徴があったのでしょう。以下、引用です。
◎就職観
詳しくはマイナビ社の記事をご覧ください。参考:マイナビ社|2024.04.16
就職観についてあてはまると思うものを答えてもらったところ、これまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で38.9%(前年同値)となった。
もっとも増加幅が大きかったのは「個人の生活と仕事を両立させたい」で、前年比1.7pt増の24.5%となった。(略)
ワークライフバランス志向が反映されていると推測される。
◎企業志向
大手企業志向(「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の回答の合計) は53.7%(前年比4.8pt増)となり、2022年卒以来3年ぶりに半数を超えた。(略)
項目を細かく見ると「絶対に大手企業がよい」という回答が1割未満だが「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」が最も多い43.9%となった。
◎企業選択のポイント
企業を選択する場合にどのような企業がよいか(略)を聞いたところ、「安定している会社」が49.9%(前年比1.1pt増)で6年連続で最多。4年連続で増加しており、5割に届く勢いとなった。
「給料の良い会社」も3年連続で増加し、前年比2.2pt増の23.6%となった。
◎行きたくない会社
行きたくない会社(略)を聞いたところ、「ノルマのきつそうな会社」が前年に続き最多で38.9%(前年比0.7pt増)であった。2番目に回答が多かったのは「転勤の多い会社」で30.3%(前年比0.7pt増)で、初めて3割を超えた。
「2025年卒大学生就職意識調査|マイナビキャリアリサーチLab」より一部抜粋
25卒をまとめると
・就職観は「楽しく働きたい」が最多。増加幅がもっとも大きかったのは「個人の生活と仕事を両立させたい」
・大手企業志向が53.7%で前年比4.8pt増。3年ぶりに5割超。
・企業選択のポイントは「安定している会社」が49.9%で6年連続最多。
「給料が良い会社」も3年連続で増加。
「安定」「ワークライフバランス」「高待遇」といったところでしょうか。

一方、26卒の学生はどうでしょう。以下、引用です。
◎就職観
詳しくはマイナビ社の記事をご覧ください。参考:マイナビ社|2025.04.23
就職観について当てはまると思うものを答えてもらったところ、これまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で37.4%(前年比1.5pt減)となった。
もっとも増加幅が大きかったのは「個人の生活と仕事を両立させたい」で、前年比1.1pt増の25.6%。3年連続で増加となり、学生のワークライフバランスへの意識の高さがうかがえる。一方で、「収入さえあればよい」(8.4%)も増加傾向にあり、5年連続での増加し、10年前と比べると3倍以上となった。
◎企業志向
大手企業志向(「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の回答の合計) は51.8%で、前年比1.9pt減となった。
中堅・中小企業志向(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」と「中堅・中小企業がよい」の合計)は43.0%で、前年比0.1pt増となった。詳細を見ると、もっとも大きく増えていたのは「中堅・中小企業がよい」(7.7%)で、前年比1.9pt増となった。
◎企業による初任給引き上げ予定
これまで上場企業・大手企業による初任給引き上げが社会的に注目を集めていたが、非上場企業や中小企業でも初任給引き上げの動きが活発化し、給与等の待遇面の条件が見直されたことが、中小・中堅企業志向の学生が増えた背景の1つと考えられる。
◎企業選択のポイント
企業を選択する場合にどのような企業がよいか(あてはまると思う項目を2つまで選択)を聞いたところ、「安定している会社」が51.9%(前年比2.0pt増)で7年連続で最多、初めて5割を超えた。
「給料の良い会社」も4年連続で増加し、前年比1.6pt増の25.2%となった。
◎行きたくない会社
行きたくない会社(あてはまる項目を2つ選択)を聞いたところ、「ノルマのきつそうな会社」が前年に続き最多で38.2%(前年比0.7pt減)であった。2番目に回答が多い「転勤の多い会社」は31.0%(前年比0.7pt増)で、今年も3割を超え、5年連続での増加となった。
「2026年卒大学生就職意識調査|マイナビキャリアリサーチLab」より一部抜粋
26卒をまとめると
・「楽しく働きたい」が最多。
「個人の生活と仕事を両立させたい 」は3年連続、「収入さえあればよい」は5年連続で増加
・大手企業志向は2年連続で半数を超えるも前年比減、中小企業志向が増加。初任給引き上げが中小企業に波及したことも影響か。
・学生が行きたくない会社は「ノルマのきつそうな会社」が今年も最多。「転勤が多い会社」も5年連続で増加。
26卒の学生はさらに安定志向が加速している、と言えそうです。
安定かつ高収入を望んでいる、というところでしょうか。
しかし、26卒は安定志向ではあるものの、その「安定」は大手企業一辺倒というものでもありません。大手企業志向が割合が減り、中小企業志向が増えているのもポイントですね。そして、以下の抜粋もご覧ください。
26卒キャリア形成活動
◎低学年次のキャリア形成活動実施
詳しくはマイナビ社の記事をご覧ください。参考:マイナビ社|2025.07.31
これまで行ってきたキャリア形成活動について学年ごとに聞くと、大学1年次ですでに参加していた学生は35.3%でおよそ3人に1人以上だった。また、大学2年次では44.5%と半数近い学生が何かしらのキャリア形成活動を行っていたことが示された。
(略)
低学年次(1・2年生)のキャリア形成活動で得られたことを聞くと、「将来のことを真剣に考えるようになった(39.1%)」が最も多く、意識の面に影響があることが示された。
「2026年卒 内定者意識調査|マイナビキャリアリサーチLab」より一部抜粋
安定志向ではあるものの、いわゆる大手ブランドにこだわるのではなく、「やりがい」や、自身のキャリア形成にもしっかり意識を向け、将来をみすえた活動をしていることがわかります。
以上をふまえ、25卒、26卒の学生の就活傾向は以下のようにまとめられるのではないでしょうか。

就活早期化の影響
そして、年々、就職活動の早期化が進んでいる、というのはこちらnoteでも何度かお伝えしているのですが、
◎2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査
詳しくはマイナビ社の記事をご覧ください。参考:マイナビ社|2025.02.20
・インターンシップ・仕事体験の参加率(85.3%)・参加社数(5.2社)は
ともに過去最高水準
・3月以降のエントリー予定社数は前年より3.1社減少し8.0社
・学生が就職活動を終えたい時期は、例年と変わらず「6月」が最多
「2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査 | マイナビキャリアリサーチLab」より一部抜粋
大学生広報活動前の活動が過去最高水準となっています。
早期化傾向は今年に始まったことではありませんが、26卒はさらに早く推移してきた、ということ、皆様も肌で感じられたのではないでしょうか。
時期が早まったということは単なる前倒し以上の意味を持ちます。
大学2年次からインターンに参加する学生も増え、選考はもはや4年次を待たずに始まっている状況なのは皆様もご存知の通り。
そして以下の抜粋をご覧ください。
◎2026年卒 大学生キャリア意向調査6月<就職活動・進路決定>
詳しくはマイナビ社の記事をご覧ください。参考:マイナビ社|2025.07.11
・6月末の内々定保有率は前年比1.1pt増の82.8%。活動継続率は前年比0.1pt減の35.6%と、3人に2人は就職活動を終了
・4~6月のエントリー社数が増加し、6月末までの累計エントリー社数は過去5年間で最多の28.5社
・3月上旬時点での見込み内々定社数が平均2.6社だったことに対し、6月末時点での内々定保有社数は平均1.8社と、0.8社の差
「2026年卒 大学生キャリア意向調査6月<就職活動・進路決定> | マイナビキャリアリサーチLab」より一部抜粋
学生の多くが、早期に、多くの会社にエントリーし、就職活動を早く終わらせているということですね。
つまりは実際に入社するまでの時間が長くなる、ということ。
これは学生にとっては良いことのようにも思えますが、それだけ「迷い」を生じさせる状況とも言えるでしょう。
「内定ブルー」問題
皆様は「内定ブルー」という言葉を耳にされたことはありますでしょうか。
「マリッジブルー」や「マタニティーブルー」と同じように、喜ばしい出来事のはずなのに、なぜか心が重くなる――そんな状態を表した言葉です。
新卒採用の現場でも、実に多くの学生がこの「内定ブルー」を経験していると言われています。
次の表をご覧ください。

なんと!26卒の8割以上の学生が内定後に不安を感じているということです。25卒に比べて大きく増えていることがわかります。
では、学生はなぜ「ブルー」になるのか、考えてみましょう。
「本当にこの会社でよかったのか」「もっと他に合う会社があるのでは」
早々に内定が出る状況はむしろ喜ばしいと感じてもいいはずなのに、なぜか気持ちが落ち込む…
「マリッジブルー」もそうですよね。
結婚という晴れがましい状況にも関わらず、気分が落ち込んでしまう。人生の重要な節目、大きな決断だからこそ、「本当にこの人で良かったのだろうか」「本当に幸せになれるのか」と、かえって不安になってしまう。
就活も人生の大きな節目であり、ましてや早々に多くの企業から内定をもらう恵まれた状況にも関わらず、悩んでしまう。上記アンケートの「不安になる理由」をご覧下さい。
- 社会人としてやっていけるかどうか
- この会社できちんと務まるかどうか
- 自分がこの仕事に向いているかどうか
いや、むしろ「選ぶことのできる状況」「悩む時間がある」状況だからこそ、なのかもしれません
…これが「内定ブルー」の正体なのでは、と私は考えております。
このブルーな気持ちを放置するとどうなるのでしょうか。
調査によれば、
なんと約2割の学生が「就職活動を再開した」と答えています。つまり「内定ブルー」が原因で、せっかくの内定を辞退されてしまうケースもあるということです。
一方で、多くの学生は「内定先に残る」という選択をします。しかし、その人達は「ブルーな気持ちを抱えたまま」入社する場合もあるでしょう。
モチベーション低下や早期離職のリスクにつながることは否めません。
「内定ブルー」で内定者を失わないために
「内定ブルー」は学生の弱さなどではなく、「就活早期化」「売り手市場」「複数内定」などが相まって起こってると言えるのかもしれません。
その「迷い」が、「自分により有利な条件を見きわめたいー配属ガチャでハズレをひきたくない」
と、こういった心理を加速させているのかな…と感じます。

迷える就活生にとっても、また内定を辞退されたくない企業にとっても良い結果が期待できないこの状況、これらを打開するためには、「相互理解を深める」しかない、ということを以前の「配属ガチャ問題」で取り上げさせていただきました。


相互理解を深める効果的な「内定者フォロー」のご提案をさせていただいております!

以上、26卒新入社員の傾向をまとめると以下のようになります。
- 「安定」かつ「高給」を求める
- 就活の早期化、内々定を数多く抱え、思い悩む時間が多い
- 自身のスキルアップ、キャリアに自覚的
26卒の学生は安定+収入・初任給への期待がさらに高まり「やりがい」と「待遇」を両立したい志向が増えているように思います。
- ワークライフバランスへの期待に応える安心感
- 企業文化・雰囲気の体感機会
- 初任給・待遇への納得感
- 「やりがい」や「社会的意義」との接続
これらをふまえ、実際に彼ら彼女らが入社した際、どのように育成していけばよいのか。内定者研修・入社後研修に反映すべきポイントがあります。
タイトルにも記している「安定」と「挑戦」とは。
次回、後編では入社後の新入社員研修についてなど、
26卒世代ならではの注意点や育成方針をお話させていただきます。

