6月になりました。2024年も今月が終わると残り半分です。毎日忙しく過ごしていると、なんだかあっという間だですね。
さて、皆さまもお仕事をするうえで、すべてがうまく進むことはなく、常に「問題」を抱えているのではないでしょうか。
頭の痛い話ではありますが、当然、「問題」は「解決」しなければなりません。しかし、「問題」とは何なのでしょうか。
今回は、弊社で提供中の研修でも取り入れております「問題と課題」についてお話しいたします。
「問題」「課題」それぞれの定義
「問題」「課題」と聞いて、何を思うでしょうか。なんだ、同じような意味じゃないかとお感じになる方が多いのではないでしょうか。
実際、「問題」「課題」、特に意識もせず、漫然と使われているように見受けられます。
それぞれの定義をここで確認していきましょう。
ひとつ頭の体操をしてみましょう。以下の穴埋め、ここに入る言葉は、何でしょう。
「課題」を見つけよう!
先ほどの穴埋め問題、答えは
「問題とは、あるべき姿と実際の姿の乖離である」
です。
問題がなぜ問題なのか。それは今の状況のままであってはいけないからですね。本来は「こうあるべき」があるはずなのです。その、
「あるべき姿」ではないこと、これこそが「問題」だ、ということですね。
いかがでしょうか。考えてみれば当たり前と思える話ですが、こうやって改めて言葉の定義を確認することは、実は問題解決において非常に有効なのです。
ここで「あるべき姿」から離れている「問題」、当然ですが「あるべき姿」にしていかなくてはなりません。
「問題」を分類しよう!
「問題」とは何か、を確認したところで、今度は「問題」を分類していきましょう。
一口に「問題」と言っても、その深度によって分類されることにお気づきでしょうか。
現実的にすべてのことが「あるべき姿」にできるわけではありません。
例えば、花粉症がひどいことが「問題」だとしましょう。「あるべき姿」として、「花粉症ではなくなる」と定義しても、今すぐに体質を変えることはできません。同じく「スギ花粉が多く飛散する」のが問題だとして「スギの木をすべて無くす」を問題解決のゴールとするのも現実的ではないでしょう。
以上を踏まえ、「問題」を分類していきましょう。
- 些末な問題…取るに足らない些末な問題
- 解決しなければならない問題…課題設定すべき問題
- 中、長期的には解決できない問題…前提条件とすべき問題
「些末な問題」は、問題こそあれど、解決しなくても大勢には影響しない問題なので、置いておきましょう。
「中、長期的には解決できない問題」は、そもそも解決が難しいので、「この問題があることを踏まえて」解決を考えていかなければ問題、ということですね。花粉症の例えで言えば、春には必ず花粉が飛散し、アレルギー体質なのを前提として考えなくてはならない、ということです。
そして、「解決しなければならない問題」こそが、「課題設定すべき問題」となります。
「課題」とは
ここで「課題」が出てきましたね。
上記の「花粉症の症状がひどい」ことを「問題」として設定しましょう。
「花粉症にならない」との目標を立てても、今すぐに体質を変えることはできません。花粉そのものをなくすことも難しいでしょう。
「花粉症にならない」とだけ目標を設定しても、それが具体的な行動に結びつかなければ問題の解決には至りません。
つまり、問題解決に向けて実行ベースに落とし込んだものが「課題」なのです。
「花粉症の症状が起こらないようにしたい」ことを実行ベースの課題に落とし込むとすると、「薬を飲む」となるでしょうか。それを、より具体的に書いていくことで行動に移しやすくなります。
「問題」に対する「課題」は具体的な行動指針、ということですね。
「問題」が判明すれば「課題」がわかる
つまり、問題解決とは、「問題から課題を抽出し、行動計画を立てて実行する」ということになります。
そして、ここでお気づきの方もいるかと思いますが、「花粉症の症状を抑える薬を処方してもらおう」との課題を設定すれば、実行することはもう決まってきますよね、もちろん「病院に行く」ことです。
問題に対して「課題」が決まれば、あとは実行するだけです。
行動計画は、「課題」を設定すれば自動的にセットされます。問題解決にもっとも大切なのは、「課題」を設定することなのですね。
ワーク:問題解決
それでは、以上を踏まえて実際に研修で行われているワークを見てみましょう。ご興味のある方は、一緒に考えてみてください。
以下のフォーマットに沿って考えてみましょう。
- 目標 あるべき姿
- 現状 実際の姿
- 問題 あるべき姿と実際の姿の乖離
- 課題 問題解決を実行ベースに落としたもの
回答例を考察しよう
いかがでしょうか。回答の一例を見てみましょう。
・目標 あるべき姿
一日の来客数300名を目指す
・現状 実際の姿
一日の来客数は200名程度である
・問題 あるべき姿と実際の姿の乖離
一日の来客数が目標よりも100名ほど少ない
・課題 問題解決を実行ベースに落としたもの
ホットペッパーやぐるなび等を活用し新規集客に力を入れる
来店客と意図的に会話を増やして、ニーズを聞き出す
近隣の同業店舗の状況を調査する
新規メニューを開発する など
いかがでしょうか。多くの方が納得のいく回答例かと思います。目標、あるべき姿を「来客数300名を目指す」とし、そこを起点として実行ベースに落とし込むと、具体的な課題が見えてきますね。
では、もうひとつ、違う回答例をご紹介いたします。
・目標 あるべき姿
黒字になる
・現状 実際の姿
赤字
・問題 あるべき姿と実際の姿の乖離
来店数200名では赤字
・課題 問題解決を実行ベースに落としたもの
付加価値の高いメニューを開発して、単価の高い売れ筋商品を作る
魅力的なデザートやドリンクメニューを開発して、客単価向上を目指す
追加オーダーを取ったホールスタッフにインセンティブ制度を導入する
食材の仕入れを見直し、無駄なコストを削減する
いかがでしょうか。何も来客数が300名でなくても、要するに赤字が解消することこそ目標だ、とする考え方です。こちらも納得のいく回答ですね。
つまり、同じ問題に対峙しても、その「目標」とする「あるべき姿」の認識が違えば、「解決すべき問題」も変わってきますし、「課題」も変わってしまう、ということです。
問題解決チャートを取り入れよう
いかがでしょうか。「問題の解決」とひとことに言っても、実はこのような道筋を辿っているのですね。ひとつひとつは当たり前とも言えることなのですが、こうやって言葉に落とし込み可視化することで、問題解決への道筋が見えてくるのではないでしょうか。
どこから手をつけていいかわからない問題でも、まずは分類し、「解決すべき問題」を見つけることで、課題を設定することができます。
この問題解決チャートは、お仕事でも、それこそ個人の問題でも、普遍的に使えるものです。皆様もぜひ取り入れてみてくださいね。
組織における問題解決
そしてもうひとつ、先の例題でわかる通り、同じ問題に直面しても、目標の設定によって成すべきことは変わってきます。
つまり「本来あるべき姿はこうだよね」というのは、見る人によって違うことがある、ということ。しかし、ここが違ってしまうと、目標、目指すべき場所が違ってしまうのですから、一緒に問題解決を進めるのが難しくなります。
組織における問題解決においては、まずは「目標」をしっかりと共有することが欠かせないということですね。
当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、それぞれが勝手に「こうだろう」と思い込み、結果として「課題」、成すべきことがズレてしまい足並みが揃わないというのは往々にして起こることです。
「どうして問題解決がうまくいかないのか問題」が起こった際、
最初の目標設定は適切だったか、関わる人の認識にズレがないのか、課題の設定は正しいのか
これらを検討することが大切なのですね。
いかがでしたでしょうか。
今、ご自身が抱える問題はありますでしょうか。何も問題を抱えていない方もいないかもしれませんが、問題に対する「課題」の設定方法など、ぜひ取り入れてみてください。
問題と課題の設定にお困りの際は、ぜひ弊社にご相談ください。問題を整理分類し、課題の設定をお手伝いいたします。
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