「ワクドキ」はここから生まれた。管理職になって初めて壁にぶつかった日のこと。

「管理職になって、正直しんどいです」

ある研修の場で、受講者のひとりがぽつりと言いました。

入社以来ずっと優秀なプレイヤーとして走り続け、周囲からの期待を受けて管理職に昇進した。嬉しかった。
でも、いざなってみたら、思っていたのと全然違う。

「部下に何をどこまで任せればいいかわからない」
「自分の仕事もあるのに、チームのことまで見きれない」
「以前は結果で評価されていたのに、今は何をもって自分が評価されるのかわからない」
「相談したくても、同じ立場の人が社内にいない」

そう話しながら、少しだけ表情が緩んでいました。
「言葉にしたら、少し楽になりました」と。

今回のコラムは、初めて管理職になった方、そしてこれから管理職になる方へ向けて書きます。
テクニックや方法論ではなく、その胸の奥にある不安や戸惑いを、一緒に言葉にしていきたいと思います。

目次

「おめでとう」の裏側にある、誰にも言えない本音

管理職への昇進は、たしかに嬉しいことです。認められた証でもあります。
でも、昇進の喜びが落ち着いてくると、多くの方が「あれ、これってどうすればいいんだろう」という場面に直面し始めます。

部下の仕事が気になって、つい手を出してしまう。
やり直しを指示するより、自分でやった方が早い。でも、それでいいのか。部下は育っているのか。頭の中でグルグルしながら、気づけば深夜まで自分の手を動かしている。

「管理職らしく」振る舞おうとして、疲れる。
部下の前では堂々としていなきゃいけない気がして、不安を見せられない。でも、本当は毎日手探りで、「これで合ってるのかな」と思いながら仕事している。

「プレイヤー時代の自分」と比べてしまう。
以前は成果が数字でわかった。お客さんの反応が直接返ってきた。でも今は、自分が頑張っているのかどうか、うまくいっているのかどうか、実感が持ちにくい。

孤独を感じる。
上司には「うまくやっています」と見せたい。部下には頼られたい。でも、ふと気づくと、本音を話せる相手がいない。

当社代表である私、諸戸がこれまで多くの管理職の方と関わってきた中で、この「誰にも言えない本音」を抱えたまま走り続けている方が、本当に多くいるように思います。

「うまくいかない」のは、あなたのせいじゃない

ひとつ、はっきりお伝えしたいことがあります。

管理職になって最初の数ヶ月、うまくいかないことがあるのは当然なのです。それはあなたの能力の問題でも、適性の問題でも、やる気の問題でもありません。

「管理職としての仕事の仕方」を、誰かにちゃんと教えてもらったことがないからです。

プレイヤーとして優秀だったことと、マネージャーとして機能することは、まったく別のスキルです。
営業で成果を出す力と、営業チームをマネジメントする力は、使う筋肉が違います。

でも多くの企業では、「優秀なプレイヤーが管理職になる」という構造が続いてきました。昇進した日から突然「マネージャーとして動いてください」と言われ、具体的な方法は教えてもらえないまま、現場に出される。

手探りで当たり前ですし、うまくいかなくて当然ですよね。

これまで現場で見てきた「うまくいっている管理職」の方々も、最初からうまくできていたわけではありません。
ほぼ例外なく、試行錯誤と失敗を繰り返しながら、少しずつ「自分なりのマネジメントの型」をつくってきています。

私自身も、そうでした。

私は前職で入社1〜2年目の若手社員主体の約20名が所属するマネジメントを担った経験があります。
社会人経験のない彼らに、どう仕事の基礎を習得させるか。目標をどこに設定するか。
達成するための工夫をどう組み込むか。日々の関わり方はどうあるべきか、毎日が試行錯誤の連続でした。

営業職だったので、数字は絶対に外せない。
でも同時に、数字を追うだけでは人は動かないと感じていました。大事なのは、主体的に考えられるマインドセット。
「どうしたら彼ら自身が前を向いて、自分の意志で動けるようになるか」を、ずっと考えていました。

そこで生まれたのが、当社のキーワードでもある「ワクドキ」という言葉です。

せっかく働くなら、ワクドキがいい。
新しいことにワクワク・ドキドキしながら、ポジティブに仕事に向き合ってほしい。
そんな想いを込めて、チームの中でその言葉を使い続けました。

すると、その言葉は言霊になっていきました。

つらいことがあっても、しんどくても、「ワクドキで行こう」という空気がチームに根づいていった。
的確な目標設定と、毎日のコミュニケーション。そのふたつが組織をつくるのだと、あのチームから教わりました。

管理者、事業責任者として悩んでいたあの日々があるから、今の「株式会社Tenmaru」があります。
だからこそ、同じように悩んでいる管理職の方の気持ちが、痛いほどわかるのです。

管理職になって最初に感じる「3つの壁」

当社の研修の場でよく出てくる「管理職の壁」を、正直にお伝えします。

第1の壁:「任せる」ことへの恐怖

プレイヤー時代、仕事の質は自分でコントロールできました。でも管理職になると、部下に仕事を任せなければならない。

そのとき、多くの人が「任せたくても、任せられない」という感覚にぶつかります。

クオリティが心配。間に合うか不安。説明する時間より自分でやった方が早い。
そうやって仕事を抱え込んでいくうちに、気づけばプレイヤーとしての仕事とマネジメントの両方が自分にのしかかってくる。

「任せること」は、実はスキルです。どう伝えれば動いてもらえるか、どこまで任せてどこで関わるか。これは感覚ではなく、学べることです。でも誰も教えてくれないから、ずっとひとりで悩み続けることになります。

第2の壁:「成果の見えなさ」との葛藤

プレイヤー時代は成果がわかりやすかった。数字、受注、お客さんの笑顔…達成感がダイレクトに返ってきた。

管理職になると、それが見えにくくなります。

部下が育っているのかどうか、チームが良くなっているのかどうか。
変化はゆっくりで、日々の手応えが感じにくい。「自分はちゃんとできているのか」という不安が、じわじわと積み重なっていきます。

研修の場で「管理職になってしんどかったことは?」と聞くと、「頑張っているのに評価されている実感が持てなかった」という声が必ずと言っていいほど出てきます。これは弱さではありません。プレイヤーとマネージャーでは、仕事の「手応え」の質が根本から変わるのです。

第3の壁:「孤独感」

管理職になって多くの人が驚くことのひとつが、「こんなに孤独なのか」という感覚です。

上には上司がいる。でも「うまくいっていません」と言いにくい。下には部下がいる。でも自分の弱みを見せることへの抵抗がある。横を見れば、同じ立場の人は社内に数えるほどしかいない。

プレイヤー時代は、同期や同僚と愚痴を言い合えた。
でも管理職になると、その場所がなくなる。

「相談できる場所がない」という孤立感が、管理職の疲弊を加速させています。私が関わってきた多くの管理職の方が、「同じ悩みを持つ仲間と話せただけで楽になった」と言います。解決策がなくても、「自分だけじゃないんだ」という安心感がどれほど力になるか——これを実感してきました。

「うまくやれている管理職」が持っているもの

我々が現場で多くの管理職と関わってきた中で見えてきた、「うまくいっている管理職」に共通するものがあります。

それは、「完璧な管理職を演じようとしない」ことです。

部下の前で「わからないことがある」と言える。
「一緒に考えよう」と言える。
「失敗したけど、こう修正した」と話せる。

完璧に見せようとする管理職ほど、実は部下との距離が生まれます。逆に、自分の迷いや失敗を率直に話せる管理職のもとで、部下は「この人に話してもいい」と感じ、チームに安心感が生まれます。

そしてもうひとつ。「学ぶことを止めない」こと。

経験を積みながら、同時に体系的な知識と対話の場を持ち続けている。
「自分はもう管理職なのに、今さら基礎を学ぶのは……」という気持ちになることもあるかもしれません。でも、私が見てきた限り、成長し続けている管理職は、何年経っても「まだ学べることがたくさんある」という姿勢を持っています。

「手探り」を続けるのは、もう終わりにしませんか?

管理職になってから、ずっとひとりで手探りしてきた方へ。

その手探りは、無駄ではありません。
現場で積み上げてきた経験は、確実にあなたの中に蓄積されています。
私自身も、そうでした。あの試行錯誤があったから、今がある。

ただ、その経験を「整理する場所」と「言語化する機会」があれば、もっと早く楽になれたはずです。
そしてこれからのマネジメントを、もっと自信を持って進められるはずです。

当社がご提供する新任管理職研修は、そのための場です。

管理職の原理原則をしっかりと学びながら「自分はどんな管理職でありたいか」「何を大切にして部下と関わりたいか」を、同じ立場の仲間と対話しながら整理していく時間です。

「研修に出て、孤独じゃないとわかった」
「自分の悩みは特別じゃなかった」

そんな声を、たくさん聞き、改めてこのような機会の必要性を感じています。

プレイヤーからマネージャーへの転換で多くの人がぶつかる構造的な壁と、その乗り越え方について解説しています。

【公開講座のご案内】 新任管理職研修

「新任管理職研修|マネジメント基礎を1日で体系化」

  • 実施日時: 2026年7月9日(木)9:00〜17:45
  • 形式: 対面開催/東京都内(詳細は後日ご案内)
  • 対象: 新任管理職・管理職になって間もない方・管理職候補の方

こんな方に来てほしい:
管理職になったものの、「これで合っているのか」と毎日手探りしている
・「任せる」「育てる」「評価する」のどれもうまくできている自信がない
・同じ立場の人と、本音で話せる場所がほしい
・「自分なりのマネジメントの型」をつくりたい

この研修でできること:
管理職に必要とされる「マネジメントの原理原則」を体系的に学習し、職場力を向上させることで、環境変化を乗り越えるマネジメント力を習得します。講義だけでなく、グループワーク・ショートケース・理解促進演習を組み合わせた実践型プログラムです。その日に学んだことをその日のうちに演習で定着させる設計になっています。

管理職の仕事は、最初からうまくできなくていい。でも、ひとりで抱えて消耗し続けなくていい。
その「孤独な手探り」に終止符を打つための1日を、私たちと一緒に過ごしてみませんか。

社内研修としての実施や、複数名でのご参加についてもお気軽にご相談ください。


あなたの「ワクドキ」を、組織全体に広げていきましょう。
Tenmaruと一緒に、その第一歩を踏み出しませんか。

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