「社会人1週目」の新入社員が感じている本音と、上司がいま絶対にすべき対応

入社1週間で、すでに「やめたい」と思っている子がいるとしたら。

あなたの会社は大丈夫ですか?

桜が咲き、街が少し華やいで見えるこの季節。
職場にも、ぴかぴかのスーツを着た新入社員たちがやってきましたね。

「よろしくお願いします!」と深々お辞儀をするその姿に、なんとも言えない初々しさを感じながら、「さあ、今年の子たちはどんな子たちかな」と思っている方も多いのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。

その新入社員たち——今、心の中でどんなことを感じているか、知っていますか?

実は私たち、㈱Tenmaruが研修や育成サポートを通じて多くの新入社員と関わる中で、この「社会人1週目」というのは、組織として絶対に見逃してはいけない、決定的に重要な時期だということを、毎年実感しています。

今回は、新入社員が入社直後に感じているリアルな本音と、
上司・先輩・会社として今すぐすべき対応について、現場目線でお伝えします。

目次

新入社員の「社会人1週目」、本音はこんな感じです

まずは現実をお伝えします。

入社初日、多くの新入社員は
「期待」と「不安」が混在した、非常に繊細な状態にいます。

「頑張るぞ!」という気持ちは本物です。
でも同時に、こんなことを感じています。

「自分、ここでやっていけるかな…」
「何を聞いたら怒られる? 何が常識なの?」
「みんな忙しそうで、話しかけていいのかわからない」
「研修の内容、正直ほとんど頭に入っていない(笑)」
「同期の子たちと比べて、自分は大丈夫だろうか」

どうでしょうか。
読んでいて「あ、自分もそうだったな」と思い当たることはありませんでしたか?

これ、今の新入社員に限ったことではないんです。
ただ、いまの26卒世代には、特有の傾向があります。

26卒世代を知っていますか?25卒との違いから見えてくること

26卒世代——彼・彼女たちは、コロナ禍で大学受験を経験し、その後も円安・物価高・紛争といった不安定な社会環境の中で学生生活を送ってきた世代です。

先行き不透明な時代をリアルに体感してきたからこそ、「安心できる環境」への意識は強い
しかしここで注意してほしいのは、「安心を求めているだけの受け身な世代」ではない、ということです。

25卒と26卒を比較した調査データを見ると、興味深い変化が浮かび上がってきます。

リクルート社の調査によると、仕事に求めることの1位は25卒・26卒ともに「安定」で変わりません。
しかし、25卒で3位だった「金銭」が、26卒では4位に後退。代わりに「成長・貢献」が上位に並んできています。

条件面はもちろん大事にしながらも、「この会社でやりがいを持って成長できるか・貢献できるか」という視点が、以前よりも明確に意識されるようになっている——それが26卒という世代です。
(※参考:リクルート社「2026年大学生就職活動調査」

また、就職活動のスタイルにもその特徴が表れています。

マイナビの調査では、26卒のインターンシップ参加率は85.3%・平均参加社数5.2社と過去最高水準。OB・OG訪問や口コミサイトの活用も積極的で、これらはすべて「入社後のイメージを事前に掴む」ための行動です。
(※参考:マイナビ社「2026年卒 企業新卒採用予定調査」)

マイナビはこうした26卒の行動を「ネタバレ就活」と表現しています。
映画を観る前にレビューをチェックするように、「失敗したくない・事前に結果を知りたい」というZ世代特有の心理が就活にも表れているのです。

つまり26卒は、「安心できる環境」を前提に、その上で「成長したい・成果を出したい」という意欲をしっかり持っている世代です。

“「安心感」は、彼・彼女たちの「挑戦のスイッチ」”です。

最初の1週間に「ここは安全だ」と感じられれば、驚くほど積極的に動き始める。
逆に、その安心感がないまま放置されると、意欲があっても「固まって」しまう。

受け入れ側の初動が、本当に決定的に重要なのです。

26卒の傾向と特性をさらに深掘りした解説。受け入れる側の「心構え」として、ぜひあわせてお読みください。

「辞める気はなかったのに、気づいたら辞めていた」という現実

「まさか、うちの新入社員がそこまで感じているとは…」と思われる方もいるかもしれません。

でも、こんなデータがあります。

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、
大卒新卒者の3年以内離職率は約34.9%。約3人に1人が3年以内に職場を去っています。

さらに注目すべきは、離職リスクが最も高いのは「入社1年目」だということです。
過去10年以上のデータでほぼすべての年において、1年目の離職率が2年目・3年目を上回っています。

リクルートワークス研究所「超早期離職問題」の調査では、
新卒の11.8%が「半年未満」で離職する「超早期離職」が起きていることも明らかになっています。

そして忘れてほしくないのが、冒頭でご紹介したデータです。

マイナビの調査では、26卒の58.8%が「入社予定先で長く働きたい」と答えています
短期での転職を望む学生はごくわずかで、ほとんどの新入社員は「この会社で頑張りたい」と思って入ってきているのです。

つまり、「辞めます」という言葉が出るずっと前から、心はすでに動いている

そのスタートは、多くの場合「入社1週目の小さな違和感」です。

「なんか思っていたのと違うな」
「誰も話しかけてくれない」
「ここでは自分の話を聞いてもらえなそう」

こうした「小さな違和感」が積み重なることで、じわじわと「ここにいなくていいかも」という感覚が育っていく。

大がかりな問題が起きているわけでも、ハラスメントがあるわけでもない。
ただ、「温度感が低い」だけで、人は驚くほど早く心が離れてしまうのです。

逆に言えば——

最初の1週間、温度を上げるだけで、定着率は大きく変わります。

では、上司・先輩がいま「絶対にすべき」対応とは?

では具体的に、どう動けばいいのか。
Tenmaruが、現場で見てきた経験から、特に重要な3つのポイントをお伝えします。

①「話しかけやすい空気」を意図的につくる

26卒世代は、「相手の迷惑にならないか」を過剰に気にする傾向があります。
「今、聞いていいですか?」と言えない子が多いのです。

これを「受け身すぎる」「自主性がない」と判断してしまうのは、少し待ってください。
動けないのは、「場の安全性」がまだ確認できていないからです。

やるべきことは、こちらから話しかけること。

「困ってることない?」ではなく、
「あ、そういえばさ、最初の1週間ってわからないことだらけだよね。私もそうだったよ」 という一言の方が、ずっと効きます。

「この人は話しかけても大丈夫だ」
「ここは失敗しても怒られない」
「自分のことを気にかけてもらえている」

こうした心理的安全性の感覚を、意図的に最初の1週間で作ることが、上司・先輩の最重要ミッションです。

マイナビの調査でも、26卒が職場に求めるものとして
「同期とは友人のように仲良くしたい(74.6%)」
「職場の人とLINEなどの連絡先を交換することに抵抗がない(66.7%)」
という回答が上位に。

「つながり」と「居場所」への欲求が、数字にも明確に表れています。

②「答え合わせ」の機会を毎日つくる

新入社員が最も消耗するのは、「自分のやっていることが合っているのかわからない」状態が続くことです。

1日の終わりに、たった5分でいい。

「今日どうだった?」
「さっきの仕事、あれで合ってたよ」
「あの場面、〇〇って気を遣ってたんだね、よく見てたな」

こういった小さなフィードバックの積み重ねが、新入社員の「ここでやっていける」という感覚を育てます。

逆に、フィードバックなしに「とにかくやってみて」という状態が続くと、不安だけが溜まっていきます。

忙しい時期であることはよくわかります。
でも、5分のフィードバックが、3年間の定着を生むと思えば、コストパフォーマンスは圧倒的です。

フィードバックは「面談」という場でも本質は同じです。上司が持つべき「聴く力・伝える力」について詳しく解説しています。

③「期待していること」を言葉にして伝える

これは意外と見落とされているポイントです。

上司や先輩は「まずは慣れてくれればいい」と思っている。
一方、新入社員は「何をどこまでやれば合格なのか」がわからず、全力で空回りしている。

この認識のズレが、最初の1ヶ月に最も多くの摩擦を生みます。

「今週はこれができるようになれば十分だよ」
「最初の1ヶ月は、わからないことをゼロにすることが目標ね」
「まずは挨拶と報告、この2つだけ意識して」

シンプルに、具体的に、「今週の正解」を伝えてあげてください。

正解がわかると、新入社員は動き始めます。
動き始めると、小さな成功体験が生まれます。
成功体験が積み重なると、「ここで頑張りたい」という気持ちが育ちます。

これが、オンボーディングの本質です。

「新入社員育成」は、入社前日までに8割が決まっている

ここまでお読みいただいて、「もう少し早く準備しておけばよかった」と感じた方もいるかもしれません。

実はTenmaruでは、入社後の初動対応と同じくらい、「入社前の受け入れ準備」が定着率に直結すると考えています。

受け入れる側の上司・先輩が、新入社員の傾向と特性を理解している。
配属前に、どんな関わり方をすべきか共有されている。
最初の1ヶ月のマイルストーンが、組織として設計されている。

こうした「仕組み」があるかないかが、1年後の組織の景色をまったく変えます。

反対に、準備なしに「現場の感覚」だけに任せてしまうと——

よかれと思ってやったことが、相手にとっては圧になっていた。
「ほったらかし育成」になっていたことに、3ヶ月後に気づく。
「自分のやり方が通じない」と悩む上司・先輩が疲弊していく。

このような、誰も悪くないのに、うまくいかない育成が生まれてしまうのです。

エン・ジャパンの調査では、定着率向上のために最も効果があった施策の1位は「上司との定期面談」
制度でも福利厚生でもなく、「関わり方」が定着を左右する
——これは、現場でも数字でも一致して示されていることです。
(参考:エン・ジャパン社「早期離職実態調査(2025)」

26卒の育成において「安定と挑戦の両輪」をどう設計するか。Tenmaru流の具体的なアプローチを解説しています。

まとめ——社会人1週目は、組織にとっての「最初で最大のチャンス」

新入社員が「ここでやっていこう」と思うか、「なんか違うかも…」と思うか。

その分岐点は、
“スキルでも制度でもなく、「温度感」と「関わり方」”にあります。

「長く働きたい」と思って入ってきた新入社員の気持ちを、最初の1週間で潰してしまうのか。
それとも、さらに育てていくのか。

桜が咲くこの季節に、ぜひ一度、自分の組織の「社会人1週目の迎え方」を見直してみてください。

「ワクドキで新社会人を迎える組織」が、結果として人が育ち、定着し、業績にも直結していく。

それが、Tenmaruの信じる、“組織づくりの姿”です。


新入社員育成、オンボーディング設計にお悩みの方へ

㈱Tenmaruでは、入社直後から3年間を見据えた新入社員育成プログラムを提供しています。
「受け入れる側の上司・先輩研修」から「新入社員自身のキャリアデザイン研修」まで、一気通貫でサポートします。

「うちの新入社員育成、このままでいいのかな」と少しでも思ったら、まずはお気軽にご相談ください。

参考データ リンク一覧

① リクルート「2026年大学生就職活動調査」(SPI3)
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000593.html

② マイナビ「2026年卒 企業新卒採用予定調査」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250226_92878/

③ マイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250423_95696/

④ 厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(令和4年3月卒業者)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
※最新年度のデータ一覧ページはこちら:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html

⑤ リクルートワークス研究所「超早期離職問題」
https://www.works-i.com/research/project/koukousotsu/first/detail004.html

⑥ エン・ジャパン「早期離職実態調査(2025)」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/41448.html

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