育成にお金をかけない会社が、一番お金を使っている。

9月に入り、Tenmaruへのお問い合わせに、ある変化が出てきました。

「27卒の内定者フォロー研修について相談したい」
「来年度の新入社員育成を、今年と変えていきたい」

10月の内定式を目前に控え、来年度の育成設計を今から考え始めている人事担当者の方からのご連絡が、少しずつ増えてきています。

同時に、今年4月に管理職に就任された方々への研修もこの秋からスタートします。
新任管理職が「プレイヤー」から「マネージャー」へと意識を切り替え、部下を育てる側に回っていく。
そのタイミングと、来年度の育成計画を考えるタイミングが、ちょうど重なっています。

「育成を考えるなら、今がその時期なのかもしれない」

そう感じていただけている方が増えていることを、Tenmaruとしてとても嬉しく思っています。

今回のコラムでは、来年度の育成計画を考える上で参考にしていただきたい視点を、Tenmaruの現場経験からお伝えします。
あくまでひとつの参考として、読んでいただければ幸いです。

目次

「人材育成」は、コストか。投資か。

「育成にお金をかけてどうなるの?」という問いの背景には、多くの場合、「人材育成はコストだ」という前提があります。

設備投資なら、生産性が上がる。システム投資なら、業務が効率化する。
でも研修は、やってみてどうなるかわからない。だから「後回し」になりやすい。

でも、本当にそうでしょうか。

採用コストを考えてみてください。

中途採用一人あたりにかかるコストは、求人媒体費・選考にかける人件費・入社後の立ち上がり期間を含めると、100万円を超えることも珍しくありません。育成がうまくいかずに若手社員が辞めたとき、組織が負担するのは「研修費用」ではなく「採用コスト+育成にかけた時間+チームへの影響」という、はるかに大きなコストです。

「育成にかけるお金」と「育成をしないことのコスト」を比べたとき、どちらが大きいか。

この視点を持つと、「育成はコストだ」という前提が揺らぎ始めます。

HR業界20年以上、500社以上の企業と関わってきた中で確信していることがあります。育成を「投資」として捉えている経営者の組織は、5年後・10年後の景色が違います。「コスト」として捉えている経営者の組織は、「人が育たない・辞める・また採用する」というサイクルから抜け出せません。

経営者と人事が「育成」で話が噛み合わないとき

Tenmaruが実際のお打合せ時によく耳にする話。

人事担当者は「研修が必要だ」と感じている。
経営者は「で、それをやってどうなるの?」と聞く。
この二者の間に生まれるすれ違い。

これは、どちらが正しくてどちらが間違っているという話ではありません。見ている視点が違うだけです。

人事担当者は現場を見ているから、育成の必要性がリアルに感じられる。
経営者は組織全体を見ているから、「投資としての育成」が見えているかどうかを確認したい。

では、この二者の視点が重なる育成計画とはどんなものか。
Tenmaruが企業様のご支援をしてきた経験から、参考になりそうな視点をお伝えします。

「組織の課題」と育成をつなげて考える

「スキルアップのために研修をしたい」という出発点より、「今年の新入社員の定着に課題があったため、来年度は入社後のフォロー設計を見直したい」という形で、育成の目的が今の経営課題に結びついていると、経営者・人事の両者が同じ方向を向きやすくなります。

採用コストの増加、若手の早期離職、管理職の育成力不足、
こういった課題と育成計画をつなげて提示することで、「なぜ今これをやるのか」が共有しやすくなります。

「何が変わるか」のイメージを描く

完璧な数字でなくてもいい。「半年後のフォロー研修を入れることで、中だるみの時期に新入社員をフォローできる体制をつくりたい」という形で、研修後の変化のイメージが描けていると、判断しやすくなります。

「なんとなくいい研修をしたい」より、「この課題に対して、この研修で、こんな変化を目指している」という構造で考えると、育成計画の輪郭が見えてきます。

「単発」より「設計」として考える

単発の研修は「イベント」として捉えられやすく、「今年だけ?」という疑問が生まれやすい。一方で、新入社員研修から半年後フォロー・2年目研修まで一連の流れとして設計されていると、「仕組みをつくろうとしている」という印象が生まれます。

経営者も人事担当者も、「イベント」より「仕組み」への投資の方が腹落ちしやすい
そう感じることが多いです。

「今から動く」ことで、対話の時間が生まれる

9月に育成計画の骨格を描き始めることで、一番大きく変わるのは
「考える時間がある」ことです。

会社の決算期にもよりますが、新年度の4月からの実施の場合、年明けに「急いで来年度の研修を手配したい」という状態では、「何のために」を考える余裕がありません。予算を決めて、研修会社に発注して、終わり…という流れになりがちです。

でも早期から動き始めると、こんなことができます。

今年の育成を振り返る。どんな課題が残ったか、何がうまくいったか。
現場の管理職との対話。「来年はこういう育成をしたい。どう思いますか?」という問いかけを、余裕を持って行える。

この「対話のプロセス」が大切です。経営者や現場のリアルな声が、来年度の育成設計に反映されていくからです。また、その過程で「育成についての共通認識」が少しずつ組織の中につくられていく。これが、育成を「イベント」から「文化」へと変えていく下地になります。

「今から動く」理由は、稟議のためだけではありません。よりよい育成設計のために、時間が必要なのです。

「管理職が育成できない」は、管理職のせいではない

もうひとつ、参考にしていただきたい視点があります。

「うちの管理職は育成が苦手で……」という企業さまが本当に多い。

でも多くの場合、管理職が育成できないのは、「育成のやり方を教わっていないから」です。

プレイヤーとして優秀だったから管理職になった。でも、「部下をどう育てるか」を体系的に学ぶ機会は、ほとんどの組織にありません。経験と勘で何とかしてきた管理職が、若手社員の価値観の変化についていけなくなっている。

これが「管理職が育成できない」の正体です。

つまり、管理職の育成力が低いのは「組織が育成設計をしていないから」という構造の問題です。

この視点を稟議書に盛り込めると、「管理職向け研修」への投資が、一気に「組織課題の解決」として見えてきます。

以前のコラムでもお伝えしたように、リクルートマネジメントソリューションズ社の「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)」では、人事・管理職ともに7割以上が管理職に関する課題感を持ち、特に「メンバー育成」に課題があると回答しています。
例えば、「うちだけではない。業界全体の課題だ」という文脈を添えることで、稟議の説得力は増します。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ
「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)」2025年9月公表

「社内でやればいいのでは?」という問いに向き合う

ここで、もうひとつの視点をお伝えしたいと思います。

育成計画の話をすると、
「外部の研修会社に頼まなくても、社内でやればいいのでは?」
という声が出ることがあります。これはとても自然な問いです。

社内でできることは、社内でやるのが理想です。
日常のOJT、上司からのフィードバック、先輩社員によるブラザー・シスター制度。これらは社内だからこそできる育成であり、Tenmaruも「社内の育成力を高めること」を大切にしています。

ただ、社内育成にはどうしても難しい部分があります。

ひとつは、「客観的な視点」です。
社内の人間が教えると、どうしても「うちのやり方」に染まった育成になりやすい。外部の視点が入ることで、「業界全体ではこうなっている」「他の会社の若手はここまでできている」という比較軸が生まれ、自社の育成の現在地が見えやすくなります。

もうひとつは、「心理的な安全性」です。
社内の上司や先輩には言いにくいことも、社外の第三者には話せることがある。同期同士が外部の研修で集まり、普段職場では言えない本音を話す…
この場の価値は、社内研修では代替しにくいものです。

そして「言語化と判断のしやすさ」という点も、外部を活用することの価値のひとつです。
育成計画を立てることは、本来人事担当者がやるべき大切な仕事ですが、日常業務の中で「自社の育成をどうしたいか」を言語化するのは、意外と難しい。外部の視点が入ることで、「自分たちがやりたかったことはこういうことだったのか」と方向性やビジョンが整理されやすくなったり、「ではこの方向で進もう」という判断がしやすくなったりすることがあります。

社内と外部、どちらが正解というわけではありません。
「社内でできること」と「外部に任せること」を整理した上で、組織に合った育成設計を考える。
そのお手伝いをするのがTenmaruの役割です。

管理職が育成においてすべき視点の転換について解説しています。

「育成にお金をかけてどうなるの?」への答え

冒頭の人事担当者の話に戻ります。

「育成にお金をかけてどうなるの?」という問いへの答えは、こうです。

「育成をしないと、採用し続けるコストがかかり続けます。育成をすると、人が育ち、辞めにくくなり、組織が自走し始めます。」

これは理想論ではありません。Tenmaruが現場で伴走してきた企業で、実際に起きてきたことです。

育成に本気で取り組んだ企業では、新入社員の定着率が変わります。管理職の関わり方が変わります。チームの空気が変わります。そして採用コストが下がり始めます。

人材育成は、コストではなく、組織を変える最も確実な投資です。

年間シリーズとして育成を設計することの重要性と、各階層別の育成フローを解説しています

来年度の育成計画、Tenmaruと一緒に描きませんか

「来年度の育成設計を、今から一緒に考えてほしい」
「今年の育成を振り返るところから相談したい」
「経営者・現場・人事が同じ方向を向ける育成計画をつくりたい」

どんな段階からでも、お気軽にご連絡ください。

Tenmaruは「おせっかい型外部人事」として、採用から育成・定着まで一貫して、あなたの組織の課題を一緒に考えます。答えを押しつけるのではなく、組織の実情に合った育成設計を、対話しながら一緒につくっていきます。


あなたの「ワクドキ」を、組織全体に広げていきましょう。
私たちと一緒に、その第一歩を踏み出しませんか。

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