来年度の人材育成、今から動く会社が結果を出せる理由

「来年度の育成計画、まだ先の話ですよね」
8月にそう言っていた会社が、11月になって「急いで研修を手配したい」と慌てる。

そんな場面を、毎年のように見てきました。

夏の終わりが近づくこの時期、多くの企業では来年度の予算検討が静かに始まっています。でも「人材育成の計画」については、後回しにされがちです。

設備投資や採用計画と違い、「急がなくてもいいだろう」という空気が漂いやすい。

でも本当に、それでいいのでしょうか。

今回のコラムでは、来年度の人材育成計画を「今から」動かすことがなぜ重要なのか、そして「今から動く会社」と「後から慌てる会社」の間に何が起きているのかをお伝えします。

目次

人材育成への投資は、今まさに増えている

まず、データからご覧いただきます。

厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」(令和8年7月31日公表)によると、教育訓練費用を支出した企業は、54.4%と半数以上にのぼります。また、OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額は2.0万円と前回より0.5万円増加しており、企業の育成投資意欲は高まっています。

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出典:厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」令和8年7月31日公表

一方で、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は80.1%と、約8割の事業所が育成に課題を感じていることも示されています。

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出典:厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」令和8年7月31日公表

つまり、「育成に投資している企業は増えている」にもかかわらず、「育成に課題を感じている事業所も8割を超えている」という現実があります。お金をかけているのに、うまくいっていない。その背景には、育成の「設計」と「タイミング」の問題があるのではないでしょうか。

リクルートマネジメントソリューションズ「職場における新入社員育成の実態調査」(2025年2月公表)では、新入社員育成で最も苦労したこととして「新入社員のメンタルやモチベーション管理」が挙げられており、期待通りの成長に必要な要素として「上司を含めた職場メンバーの協力」が重要とされています。

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出典:リクルートマネジメントソリューションズ「職場における新入社員育成の実態調査」2025年2月公表

加えて、同社「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)」(2025年9月公表)では、人事・管理職ともに7割以上が管理職に関する課題感を持ち、特に「メンバー育成」に課題があると回答しています。

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出典:リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)」2025年9月公表

育成は「やっている」だけでは足りない。
設計の質と、動き始めるタイミングが、結果を大きく左右します。

「後から慌てる会社」に起きていること

Tenmaruが多くの企業の育成支援に関わってきた経験から見えてくる、「後から慌てる会社」のパターンがあります。

10〜11月に「来年度の新入社員研修、どうしよう」と動き始める。

その時点で良質な研修プログラムの枠はすでに埋まっていることが多く、選択肢が狭まります。「とりあえずこれで」という研修を選ばざるを得なくなる。

12月に「急いで年内に発注したい」と焦る。

担当者の工数が年末の別業務と重なり、十分な要件整理ができないまま発注してしまう。「何のために、誰に、何を学ばせたいのか」という本質的な問いに答えられないまま、研修が始まってしまう。

4月になって「なんか思ってたのと違う」となる。

研修の設計が現場の課題と噛み合っていないことに気づくのは、実施後。修正しようにも、すでに研修は終わっている。

この「後から慌てる」サイクルが毎年繰り返されている会社では、人材育成が「毎年同じことをやっている」という惰性になりがちです。結果として、お金は使っているのに、組織が変わっている実感が持てない。そんな状態が続いていきます。

「今から動く会社」が手に入れるもの

では、今から動く会社には何が起きるのでしょうか。

①「なぜ育てるのか」を整理する時間ができる

来年度の育成計画を今から考えることで、「今年の育成はどうだったか」を振り返る余裕が生まれます。

「今年の新入社員の定着率はどうだったか」
「どんなつまずきが多かったか」
「管理職の育成力は上がったか」

こういった問いに向き合う時間が、来年度の育成計画の質を大きく変えます。

「何のために育てるのか」
「誰のための研修なのか」
「研修の後に何が変わってほしいのか」

この「目的の言語化」こそが、効果的な育成の出発点です。これは、時間に追われた状態では絶対にできません。

②「年間を通じた設計」ができる

4月から動き始める育成計画と、8月から設計する育成計画では、設計の深さがまったく違います。

新入社員研修で終わらせずに、入社後のフォロー研修、2年目の行動指針策定研修まで一連の流れとして設計できるかどうか。
管理職研修を単発で入れるのか、OJTの設計とセットで考えるのか。
「年間を通じた育成の流れ」を設計することが、単発研修の何倍もの効果を生みます。

採用から育成・定着まで一貫して現場に関わってきた経験から確信していることがあります。
育成は「点」で打っても定着しない。「線」として設計してはじめて、組織の中に根づいていくのです。

③現場との合意形成に時間をかけられる

育成計画が失敗する理由のひとつが、「現場との温度差」です。人事が「この研修を入れたい」と思っていても、現場の管理職が「なぜ今これをやるのか」を腹落ちできていないと、研修は形だけになってしまいます。

今から動けば、現場の管理職や経営層との対話の時間が取れます。
「来年度、こういう育成をしたい。どう思いますか?」という問いかけを、余裕をもって行えます。この対話のプロセス自体が、組織の育成意識を高めていきます。

「年間シリーズ」で設計することで、育成はもっと変わる

Tenmaruが特にお勧めしたいのが、研修を「単発」ではなく「階層別の年間シリーズ」として設計することです。

育成は新入社員だけの課題ではありません。若手・中堅・管理職、それぞれの階層に応じた育成が、組織全体の底上げにつながります。

■ 新入社員育成の年間流れ

  • 4月:入社時研修(基礎スキルと社会人マインドセット)
  • 6〜7月:OJTフォロー(ブラザー・シスターとの連携)
  • 10月:半年後フォローアップ研修(成長の振り返りとキャリアの方向性)
  • 翌年3月:2年目行動指針策定研修(2年目に向けた自己理解と目標設定)

入社から2年目への橋渡しまでを一連の流れとして設計することで、育成の一貫性が生まれ、定着率と戦力化のスピードが変わります。

■ 若手社員(2〜4年目)育成の年間流れ

  • :仕事術・主体性研修(指示待ちからの脱却)
  • 夏〜秋:伝え方・巻き込み力研修(周囲を動かすコミュニケーション)
  • 秋〜冬:キャリアデザイン研修(「このままでいいのか」という問いと向き合う)

2〜4年目は「慣れた頃に迷い始める」時期です。
この時期に「伝え方」「キャリア設計」「主体性」を体系的に学ぶことで、中堅社員への成長が加速します。

■ 管理職育成の年間流れ

  • 新任管理職研修:プレイヤーからマネージャーへの意識転換
  • OJT設計・育成フレームワーク研修:何を任せ、どう育てるかの基準づくり
  • 面談力・1on1研修:部下との対話を通じた育成力の向上

管理職は「育てる側」でありながら、自分自身も育ち続ける必要があります。
単発の研修で終わらせず、「学んだことを職場で実践し、また学ぶ」というサイクルをつくることが、管理職育成の核心です。

これらを「各階層を一括で担当する」体制として来年度から整えることで、育成の一貫性が生まれます。新入社員が若手に、若手が中堅に、中堅が管理職に。それぞれのステージで適切な育成が受けられる組織は、採用コストを下げ、定着率を上げ、組織全体の底上げにつながります。担当者の負担も、バラバラに発注するより大幅に減ります。

上半期の育成を振り返り、下半期に向けてすべきことを解説しています。年間設計を考える際の土台として合わせてお読みください。

「今動く」と「後で動く」の差は、思っているより大きい

「どうせ予算は10月以降にならないと確定しない」という声をよく聞きます。

確かに、予算の確定は秋以降です。
でも、「育成の方針を考える」「年間計画の骨格を描く」「外部パートナーと相談する」。
これらは、予算が確定する前からでもできることです。

むしろ、予算が確定してから動き始めると、「とりあえず昨年と同じプログラムで」という判断になりがちです。
「昨年と同じ」が続く組織は、「昨年と同じ課題」が続きます。

「今から動く」ということは、来年度の育成を「変える」チャンスを手に入れることです。

入社4ヶ月目の新卒社員に起きる「静かな異変」と、フォロー研修がどう機能するかを物語風に描いています。来年度の育成設計を考える上でのヒントになります。

来年度の育成について、今すぐ相談できます

株式会社Tenmaruでは、来年度の育成計画を「今から一緒に考える」ご相談を承っています。

「何から手をつければいいかわからない」
「今年の育成を振り返りたいが、どう整理すればいいか」
「年間シリーズでの育成設計を検討したい」

そんな段階からでも、お気軽にご連絡ください。
Tenmaruは「おせっかい型外部人事」として、
採用・配置・育成・定着のどこから手をつければ組織が良くなるかを一緒に考えます。


あなたの「ワクドキ」を、組織全体に広げていきましょう。
Tenmaruと一緒に、その第一歩を踏み出しませんか。

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