先輩を救うのは、若手社員の「伝え方」だった~OJT問題のもうひとつの処方箋~

「うまく伝えられなくて、もどかしいです」

ある若手社員が、研修の場でこう打ち明けてくれました。

仕事の内容はわかってきた。やるべきことも見えてきた。
でも、上司への報告がうまくまとまらない。
先輩への相談のタイミングがつかめない。
チームの中で自分の意見をどう出せばいいかわからない。

「ちゃんとやっているつもりなのに、なんか空回りしている感じがして」

その言葉に、うなずいた若手社員が他にも何人もいました。

前回のコラム(「新入社員より、先輩の方が参っています」~OJTを任された先輩社員が戸惑う前に読む処方箋~)では、新入社員を育てる立場の先輩社員が戸惑い、消耗していく問題についてお伝えしました。

今回はその続編です。

ここでいう「若手」は、新入社員だけではありません。
OJTを担うブラザー・シスターとして新入社員に寄り添っている2〜3年目の先輩社員も含めた、職場で奮闘しているすべての若手社員のことです。

「育てる側」も「育てられる側」も、実は同じ悩みを抱えていることがあります。
それが「うまく伝えられない」という問題です。

今回は、若手社員の「伝え方」が変わることで、OJTの連鎖問題がどう変わるのか…
Tenmaruが現場で見てきた視点からお伝えします。

目次

「伝え方」の問題は、育てる側・育てられる側の両方にある

前回のコラムでお伝えした「先輩社員が消耗する」問題
その根本には、実は双方向のコミュニケーションのすれ違いがあります。

新入社員が仕事で困っていても、「忙しそうだから聞けない」と黙っている。
ブラザー・シスターの先輩は「何かあれば聞いてね」と言ったのに何も言ってこない、と感じている。
でも新入社員の方は「聞きたいけど、どう聞けばいいかわからない」と思っている。

このすれ違いが積み重なると…
先輩は「何を考えているかわからない」と消耗し、新入社員は「誰にも相談できない」と孤立します。

そしてこれは、新入社員と先輩の間だけで起きる問題ではありません。
OJTを担う2〜3年目の先輩社員と、その上の管理職との間でも同じことが起きています。

「先輩として頑張っているのに、うまく伝えられなくて評価されていない気がする」
「困っていることがあるのに、どう相談すればいいかわからない」

「伝える力」がなければ、どんなに良い環境があっても機能しません。
逆に言えば、若手社員が「伝え方」を身につけることで、ブラザー・シスターの消耗は減り、チームの空気は変わり、育成がうまく回り始めます。

若手社員が陥りがちな「伝わらない」3つのパターン

Tenmaruが研修の場で若手社員と関わる中で、「伝え方」でつまずくパターンには共通点があります。

パターン① 結論より先に経緯を話してしまう

あの、先週のことなんですけど、最初にAさんに確認しようとしたら不在で、それで別の方に聞いたんですが、その方もちょっとわからないということで、調べてみたんですが……

上司や先輩に報告するとき、まず経緯から話し始めてしまう若手社員は多くいます。
聞く側からすると、「で、結局何が言いたいの?」という状態になってしまいます。

忙しい上司ほど、この「結論のない話」に余裕を失います。
若手社員としては一生懸命伝えているつもりなのに、「もっと簡潔に話して」と言われてしまう…
このすれ違いが、若手を萎縮させ、次第に「報告するのが怖い」という状態につながっていきます。

OJTを担う先輩社員も同様です。「新入社員の育成がうまくいっていない気がする」と感じていても、それをどう上司に伝えればいいかわからないまま、ひとりで抱え込んでしまうことがあります。

パターン② 「なんとなく不安」が言葉にならない

仕事の中で「なんかうまくいっていない気がする」「このやり方で合っているのか自信がない」という感覚はある。
でもそれを言葉にできないまま、悶々と過ごしてしまう。

相談するには「問題」が明確でないといけないと思っている若手社員が多くいます。
「こんなふわっとした話をしていいのかな」と思って言い出せないまま、小さな不安が積み重なって、ある日突然大きな問題になる…Tenmaruが現場でよく見てきた構造です。

これはOJTを担う先輩社員にも当てはまります。
「新入社員の様子がなんかおかしい気がする」「でも具体的に何が問題かと言われると……」という状態で、相談できないまま時間が過ぎていくのです。

パターン③ 「周囲を巻き込む」ことへの遠慮

「自分ひとりで解決しなければ」「人に頼るのは迷惑をかけること」
そう思い込んでいる若手社員は、思いのほか多くいます。

周囲を頼ること、巻き込むことへの遠慮が、孤独な頑張りを生みます。仕事はひとりで完結するものではなく、チームで動くものです。でも「巻き込み方」を知らないと、いつまでも「一人で抱える」状態から抜け出せません。

これはまさに、OJTを担う先輩社員が消耗していく構造と同じです。
「新入社員の育成は自分の責任」と思い込んで、誰にも頼れずに限界を迎えてしまう。

「伝え方」が変わると、OJTの連鎖が変わる

Tenmaruが関わってきた現場で、こんな変化を目にしたことがあります。

新入社員が「報告の仕方」を少し変えた。結論から話すようにした。
「わからないことがあります」と早めに言えるようになった…

それだけで、ブラザー・シスターの先輩が「あの子、最近話しやすくなった」と感じるようになりました。

先輩の消耗が減り、新入社員との関係に余裕が生まれ、OJTが少しずつうまく回り始めた。
一方で、OJTを担う2〜3年目の先輩社員が「伝え方」を意識するようになった例もあります。

困っていることを早めに上司に言えるようになった。
「新入社員がこういう状態なので、こう対応しようと思うのですが、いかがですか?」と相談できるようになった…

すると上司からのサポートが入りやすくなり、先輩社員の孤軍奮闘が減っていきました。

「伝え方」は、仕事の能力そのものではありません。でも、持っている力を「見せる力」であり、「チームを動かす力」です。

どんなに考えていても、どんなに動いていても、伝わらなければ「見えない」のと同じです。逆に、伝え方を変えるだけで、OJTの連鎖問題が動き始めることがあるということも実際の現場ではたびたび起こっています。

「伝え方」は、教えてもらったことがない

ここで少し立ち止まって考えてほしいことがあります。

「伝え方」を、学校で習った記憶はありますか?

国語の授業では「正しく読む」「正しく書く」を学んだかもしれません。
でも「職場で上司にどう報告するか」「困ったことをどうチームに共有するか」「自分の意見をどう場に出すか」、こういった実践的なコミュニケーションを、体系的に学ぶ機会は多くありません。

多くの若手社員が「伝え方」でつまずいているのは、才能の問題でも、やる気の問題でもありません。
学ぶ機会がなかっただけです。

Tenmaruが現場で関わってきた中でも、「伝え方」を意識的に学んだことがないまま社会人になった若手社員がほとんどです。
そして、学ぶ機会を与えられた若手は、驚くほど早く変わります。

「教えてもらっていないから、できない」のではなく、
「教えてもらえれば、できるようになる」

その可能性を、すべての若手社員が持っています。

育てる側が消耗しないための組織づくりのヒントを解説しています。前回コラムとあわせてお読みください。

「伝え方」が変わると、組織の空気が変わる

若手社員の「伝え方」が変わると、組織の中でどんな変化が起きるのか。

OJTのすれ違いが減り、先輩社員の負担が軽くなります。
新入社員が「困っていること」を早めに言えるようになるだけで、先輩が「何を考えているかわからない」と感じる場面が減ります。

チームの中に「相談しやすい空気」が生まれます。
一人の若手社員が「こんなこと聞いていいですか?」と声を上げるようになると、まわりにも「あ、聞いていいんだ」という空気が広がります。心理的安全性は、誰かの小さな行動から生まれます。

若手社員自身が「ここにいていい」という実感を持てるようになります。
伝えられた、わかってもらえた、認めてもらえた、その積み重ねが、若手の「この職場で頑張ろう」という気持ちの土台になります。

組織を変えるのは、トップダウンの施策だけではありません。
若手社員一人ひとりの「伝え方」が変わることが、OJT問題を根本から変える底力になります。

若手社員の「伝え方」と合わせて、上司側の関わり方も見直すことで、育成の好循環が生まれます。

【公開講座のご案内】若手社員の「伝え方」を変える3時間

「伝え方」は、センスではなくスキルです。学べば、必ず変わります。

Tenmaruでは、新入社員からOJTを担う2〜3年目の先輩社員まで、「周囲を巻き込む伝え方」を実践的に身につける公開講座を開催します。

【若手社員向け公開講座】「上手に周囲を巻き込める伝え方」 モノは言いようシリーズ

↓ 公開講座のプログラム詳細は、以下をクリックしてご覧ください。

実施日時: 2026年9月17日(木)9:30〜12:30
形式: オンライン
講師: パピヨン麻衣
対象: 入社1〜3年目の若手社員(新入社員・OJTを担う先輩社員どちらも歓迎)

こんな方に受けてほしい:

  • 報告・連絡・相談がうまくできていない気がする
  • 自分の意見をどう出せばいいかわからない
  • 周囲を巻き込むのが苦手で、一人で抱え込んでしまう
  • OJTを担っているが、困っていることを上手に相談できていない
  • 「もっと積極的に発言して」と言われるが、どうすればいいかわからない

こんな上司・人事担当者の方にぜひ:

  • OJTがうまく機能せず、育成に手応えを感じられない
  • 若手社員に「もっと積極的に伝えてほしい」が伝わらない
  • チーム全体のコミュニケーションを底上げしたい

「育てる側」も「育てられる側」も、伝え方が変われば、チームが変わります。
その変化を、Tenmaruと一緒につくっていきましょう。

あなたの「ワクドキ」を、組織全体に広げていきましょう。
Tenmaruと一緒に、その第一歩を踏み出しませんか。

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