GW明け離職を防ぐ「最初の90日」設計の全貌—新入社員が辞める本当の理由と、組織にできること

「GW明けから来なくなった」—その一言で、採用コストは消える。

ゴールデンウィーク直前のこの時期、人事担当者や現場のマネージャーの中には、どこか胸騒ぎを感じている方もいるのではないでしょうか。

「あの子、ちゃんと来てくれるかな」
「研修は終わったけど、現場でうまくやれているのか」
「なんか最近、元気なさそうだよな……」

こうした”ざわつき”は、決して杞憂ではありません。

マイナビ転職の「新入社員の意識調査(2025)」によると、入社2ヶ月時点で37.0%の新入社員が「辞めたいと思ったことがある」と回答しています。(出典:マイナビ転職「新入社員の意識調査(2025)」2025年8月公表

GWを迎える頃には、すでに3人に1人以上が離職を意識しているという現実があります。

今回のコラムでは、GW明けに起きる離職の本質的な原因と、それを防ぐために組織が取るべき「最初の90日」の設計について、Tenmaruの現場知見からお伝えします。

目次

なぜGW明けに離職が起きるのか

「GW明けから急に元気がなくなった」「6月の配属直後に来なくなった」
—現場の人事担当者から、毎年この時期になると聞こえてくる声です。

5月のGW明けだけでなく、研修が終わり現場配属が始まる6月も、新入社員のメンタルが揺らぎやすい時期。近年では「6月病」という言葉も広がりつつあります。

そして、エン・ジャパン社の「早期離職実態調査(2025)」によると、直近3年間で「半年以内の早期離職があった」と回答した企業は57%と半数以上にのぼります。大企業(300〜999名規模)では実に80%が該当しており、規模を問わず早期離職は多くの企業が直面するリアルな課題です。
(出典:人事のミカタ「早期離職実態調査(2025)」2025年5月公表

では、なぜGWという長期休暇が「離職の引き金」になるのでしょうか。

答えはシンプルです。「一度立ち止まる時間ができるから」です。

4月の入社直後は、慌ただしい日々の中で「考える余裕」がありません。
研修、挨拶回り、初めての業務、覚えることだらけ。不安があっても、立ち止まって自分と向き合う時間がないまま走り続けます。

ところがGWで10日近く仕事から離れると、ふっと我に返る瞬間が訪れます。

「自分、本当にこの仕事が好きなんだろうか」
「この会社で3年後、どんな自分になっているんだろう」
「入社前にイメージしていた仕事と、全然違う気がする」

この「ギャップとの対話」が、離職意向を一気に高めるのです。

離職の本当の原因は「給与」でも「仕事内容」でもない

「うちは給料も悪くないし、仕事も理不尽じゃない。なのになぜ辞めるんだろう」

こう首をかしげる経営者・人事担当者は多いと思います。

実は、GW明けの離職の多くは、待遇や業務内容への不満ではなく「心理的な孤立感」と「将来像が描けないこと」から生まれています。

新入社員が職場で感じている本音のトップは、こんなものです。

「自分がここにいていいのか、わからない」
「誰に相談していいか、わからない」
「頑張っているつもりだけど、評価されているのか見えない」
「このまま続けると、どんなキャリアになるのか想像できない」

これは決して「メンタルが弱い」とか「忍耐力がない」という話ではありません。
組織の側に「新入社員が安心して働ける設計」が足りていないという問題です。

「リアリティショック」とは、入社前に抱いていた理想と、実際の職場で感じる現実とのギャップにより、ショックを受けることを指します。

仕事における達成感ややりがい、裁量の範囲、人間関係など、社会人になる前に抱いていたイメージと実際が異なり、そのアンマッチを受け止めきれなくなることがあります。

このようなリアリティショックに直面しても、新入社員はストレスへの対処法を十分に持っていないことが多く、感じたストレスをうまく処理できずに溜め込んでしまい、結果としてメンタル不調につながるリスクがあります。

「最初の90日」が、その後3年を決める

Tenmaruが多くの企業の育成支援をしてきた中で、確信していることがあります。

入社後の最初の90日(約3ヶ月)の過ごし方が、その後の定着・活躍を大きく左右するということです。

この90日を「なんとなく研修して、現場に出して、様子を見る」だけで過ごすか、意図を持って設計するか—ここに、離職率の大きな差が生まれます。

では、「最初の90日」をどう設計すればいいのか。Tenmaruが考える3つのフェーズをご紹介します。

Phase 1(1〜30日):「ここにいていい」という安心感をつくる

入社直後の新入社員が最も必要としているのは、スキルではなく「心理的安全性」です。

わからないことを「わからない」と言える関係性。
ミスをしても責められない環境。
そして、「自分はこのチームに歓迎されている」という実感。

この土台がないまま業務を詰め込んでも、定着にはつながりません。

具体的には以下のような施策が有効です。

定期的な1on1の設定(週1回15〜30分でも十分)
メンターや先輩社員との接点をつくる(OJTとは別に、相談できる先輩を指定する)
・「ここに来てよかった」と思える体験を意図的につくる(歓迎ランチ、社内見学、経営者との対話など)

ポイントは、「やって当然」と思わず、意図を持って設計することです。

Phase 2(31〜60日):「自分の役割」を言語化させる

GW明けが最も危険な理由のひとつは、「自分が何のためにここにいるのかが見えていない」からです。

4月の研修では、会社の理念や事業内容を学んだはずです。
でも、「自分がこのチームで何を期待されているのか」「今の仕事がどうつながっているのか」を、腑に落ちた状態で理解できている新入社員は、実は多くありません。

このフェーズで有効なのが、「自分の役割の言語化」を促す対話の場です。

「あなたにこのチームで担ってほしいことは何か」
「3ヶ月後、どんな姿になっていてほしいか」

こうした期待を上司や先輩から直接伝えるだけで、新入社員の「居場所感」は大きく変わります。
Tenmaruの研修でも、「上司からの期待を言葉でもらった」体験が、最も印象に残る要素のひとつに挙げられています。

Phase 3(61〜90日):「このまま続けたい」と思える未来を描かせる

GWが明けた後の5〜6月は、「このまま続けていいのか」という自問が最も活発になる時期です。

このタイミングで効果的なのが、フォロー研修や対話の場です。

同期との交流を通じて「自分だけじゃないんだ」と感じること。
上司との1on1で「これからのキャリア」を少し先まで話すこと。
自分の強みや価値観を整理する機会を持つこと。

こうした体験が、「よし、もう少し頑張ってみよう」という意欲につながります。

逆にこのフェーズで何もしないと——GW明けの「ぽっかりした感覚」が、そのまま離職意向へとつながっていきます。

「研修が終われば育成が終わり」という思い込みが、離職を生む

多くの企業で、新入社員育成のピークは4月の入社研修です。

でも考えてみてください。4月の研修は、まだ「何も経験していない状態」で受けるものです。仕事の面白さも、難しさも、人間関係の複雑さも、何も知らないまま、ビジネスマナーや会社の業務ツールの使い方を学んでいる。

本当に育成が必要なのは、現場に出た後です。

「思っていたより難しい」「うまくいかない」「自分はこの仕事に向いているのか」—こうしたリアルな問いを抱えたタイミングにこそ、インプットと対話の場が必要なのです。

Tenmaruが現場でよく聞く言葉があります。

「4月にちゃんと研修したのに、なぜ6月に辞めるんだろう」

答えはシンプルです。
「4月に育てた」のではなく、「4月に情報を渡した」だけだったからです。

育成とは、知識を渡すことではなく、経験と気づきを積み重ねる継続的なプロセスです。

入社1年後の若手がどのような課題を抱えているか、実際の研修レポートとともに解説しています。

離職を防ぐのは「制度」ではなく「関係性」

最後に、少し本質的な話をさせてください。

5月病対策として、多くの企業が「相談窓口の設置」「メンタルヘルス研修」「産業医との連携」などを整備しています。これらはもちろん重要です。

でも、Tenmaruが経験上最も効果的だと感じているのは、「この人に話せる」と思える関係性を、日常の中につくっておくことです。困ったとき、不安なとき、「誰かに話を聞いてもらいたい」と思ったとき—その相手が社内にいるかどうか。それだけで、離職率は大きく変わります。

制度は「仕組み」ですが、人が職場に残る理由は「人」です。

「研修を受けた」より「〇〇さんが気にかけてくれた」「先輩に話を聞いてもらえた」
—そういう体験の積み重ねが、若手社員の定着をつくっていきます。

入社直後の新入社員が何を感じ、何を求めているのか。上司・先輩として今すぐできる対応をまとめています。

GW明けの「今」が、最大の分岐点

このコラムを読んでいただいているタイミングは、まさにGW直前か、明け直後かと思います。

今がチャンスです。

「なんとなく元気がなさそう」と感じる新入社員に、まず声をかけてみてください。 フォロー面談を設けていない職場なら、今すぐ短い1on1を入れてみてください。 「最初の90日」を振り返って、後半の設計を見直してみてください。

離職を防ぐ最もシンプルな方法は、「気づいたときに動くこと」です。

Tenmaruでは、GW明けのフォローアップを含む若手社員向けの研修・育成プログラムをご提供しています。
「今年こそ、早期離職を減らしたい」とお考えの人事担当者・経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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